業者に媒介(仲介)・代理を依頼するとき

― 安心して取引を進めるために ―

 

1.媒介(仲介)・代理の依頼は必ず書面で

宅地や建物を売買するときは、通常、不動産業者に
媒介(仲介)代理を依頼します。

  • **媒介(仲介)**とは:売りたい人と買いたい人の間を取り持ち、契約の成立を仲介することです。

  • 代理とは:依頼を受けた業者が、依頼者の代理人として直接契約を結ぶことです。

不動産業者は、媒介または代理の依頼を受けた場合、
その内容を記した書面(媒介契約書・代理契約書)を作成し、依頼者に交付することが義務づけられています。

 

2.媒介契約の種類

媒介契約には、次の3種類があります。
それぞれ特徴やメリット・デメリットがありますので、
自分の状況や希望に合った契約を選びましょう。

 

● 専任媒介契約

「この家を売ってほしい。ただし、貴社以外には依頼しません。」

  • 他の業者に重ねて依頼することはできません。

  • ただし、自分で買主を見つけて契約することは可能です。

 

● 専属専任媒介契約

「この家を売ってほしい。ただし、貴社以外には依頼しません。
私が買主を見つけた場合も、必ず貴社を通じて契約します。」

  • 他の業者に重ねて依頼できません。

  • 自分で買主を見つけても、業者を通じて契約しなければなりません。

 

● 一般媒介契約

複数の業者に同時に依頼できる契約です。
ほかの業者にも同時に依頼できるため、買主が見つかるチャンスが広がります。
ただし、どの業者にも専任義務がないため、販売活動がやや消極的になる場合もあります。

  • 明示型:依頼している他の業者名をすべて明らかにする方式。

  • 非明示型:他の業者名を明らかにしない方式。

 

■ 専任媒介・専属専任媒介・一般媒介 ― どこが違う?

(建設省〔現:国土交通省〕が定める「標準媒介契約約款」による)

 

● 共通点

  1. 契約の有効期限は3か月以内。(依頼者の申し出により更新可)

  2. 業者が価格を意見する場合、合理的根拠(取引事例など)を示す必要があります。

 

● 相違点

契約の種類 依頼者の義務   業者の義務
         
専任媒介契約   ・他の業者に重ねて依頼しない。
・他業者を通じて契約した場合は違約金を支払う。
・自ら見つけた買主と契約した場合は、媒介業務に要した費用を支払う。
  ・指定流通機構(レインズ)に登録し、契約成立に向けて積極的に活動する。
・2週間に1回以上、文書で進捗を報告する。
         
専属専任媒介契約   ・他の業者に重ねて依頼しない。
・自ら見つけた相手と契約してはならない。
・違約の場合は違約金を支払う。
  ・指定流通機構に登録し、契約成立に向けて積極的に活動する。
・1週間に1回以上、文書で進捗を報告する。
         
一般媒介契約(明示型)   ・複数業者へ依頼できるが、依頼先を明示する。
・他業者または自ら見つけた相手と契約した場合は通知する。
・通知を怠った場合、業者に対して実費を支払う。
  ・活動報告義務なし。ただし、誠実に媒介業務を行う。
 

● 不動産流通機構(レインズ)での情報共有

不動産流通機構(REINS:レインズ)は、
全国の不動産業者が加盟している物件情報ネットワークです。

専任媒介契約または専属専任媒介契約を結ぶと、
その情報がレインズに登録され、加盟業者間で共有されるため、
より早く・広く買主を見つけることができます。

 

3.業者に支払う報酬額(仲介手数料)

不動産業者に支払う報酬(仲介手数料)には、
法律で定められた上限があります。
(宅地建物取引業法施行規則第16条の4)

※報酬に消費税が課される場合は、上限額に消費税相当額を加えた金額が限度です。
計算の基礎となる「取引額」は、消費税を含まない本体価格で計算します。

 

① 売買・交換の媒介の場合

取引金額 報酬の上限(税抜)
     
200万円以下 取引額の5%以内
     
200万円を超え400万円以下 200万円までの部分:5%以内
200万円を超える部分:4%以内
     
400万円を超える場合 200万円まで:5%以内
200〜400万円まで:4%以内
400万円を超える部分:3%以内
 

この報酬は、売主・買主それぞれが自分の媒介業者に支払うのが原則です。

 

【計算例】

売買価格1,000万円の物件の場合:

 
区分
 
計算
 
金額
         
~200万円部分   200万円 × 5%   10万円
         
200~400万円部分   200万円 × 4%   8万円
         
400万円超部分   600万円 × 3%   18万円
         
合計
     
36万円以内(税抜)
 

● 簡易計算法(取引額400万円を超える場合)

  • 課税業者の場合
     (取引額 × 3% + 6万円) × 1.10(消費税10%)以内

  • 非課税業者の場合(消費税法施行令第57条第3項第1号ホ)
     (取引額 × 3% + 6万円) × 1.025以内

 

② 売買・交換の代理の場合

上記①で算出した金額の2倍以内が上限です。
ただし、業者が相手方からも報酬を受け取る場合は、
双方を合わせて2倍以内となります。

 

③ 居住専用建物の賃貸の媒介の場合

貸主または借主が事前に承諾している場合は、④の規定を適用します。
承諾がない場合は、借賃の1か月分の2分の1以内を、
貸主・借主がそれぞれ支払うことができます。

 

④ 貸借の媒介の場合

貸主・借主の双方から報酬を受け取る場合、
合計で借賃の1か月分以内が上限です。
なお、どちらか一方のみから受け取ることも可能です。

 

⑤ 貸借の代理の場合

借賃の1か月分以内の報酬を依頼者が支払います。
業者が相手方からも報酬を受け取る場合は、
両方の報酬を合わせて1か月分以内とします。

 

⑥ 権利金の授受がある場合

宅地や居住専用以外の建物の取引で権利金の授受がある場合は、
④・⑤ではなく、権利金を取引額として①または②の基準で報酬を算出します。

ただし、アパート・貸間など居住専用建物の賃貸において権利金を支払う場合は、③の規定に従います。

 

まとめ

不動産業者に媒介や代理を依頼するときは、
契約の種類・報告頻度・報酬の上限などをよく理解してから署名しましょう。

特に、専任・専属専任契約の場合は、情報登録義務や定期報告義務などの違いがあります。
信頼できる業者を選び、書面内容を十分に確認することが安全な取引の第一歩です。