業者に依頼するとき
― 媒介契約の内容を理解し、納得して依頼することが安心取引の第一歩です ―
1.媒介(仲介)と代理の違いを知っておきましょう
宅地や建物の売買・交換・賃貸借を進めるときは、 不動産会社に媒介(仲介)または代理を依頼することがあります。
売主と買主、貸主と借主の間に立ち、契約の成立に向けて条件調整や相手方の探索を行うことです。
実際の契約は、原則として当事者同士が締結します。
依頼を受けた業者が、依頼者の代理人として契約行為を行うものです。
媒介よりも権限が大きいため、契約の内容や代理権の範囲をよく確認することが大切です。
媒介でも代理でも、依頼する内容は必ず書面で確認しましょう。
どこまでを業者に任せるのか、報酬はいくらか、契約期間はどうなるかを 事前に明確にしておくことが重要です。
2.依頼は必ず書面で行いましょう
不動産会社が媒介または代理の依頼を受けた場合には、 その内容を記した媒介契約書または代理契約書を作成し、 依頼者へ交付することになります。
口頭だけで話を進めてしまうと、あとで 「どこまで依頼したのか」「いくら支払う約束だったのか」 が曖昧になり、トラブルの原因になりやすくなります。
書面で確認したい主な項目
契約の種類、契約期間、報酬額またはその計算方法、業者の業務範囲、 レインズ登録の有無、報告の頻度、違約時の取扱いなどは、 契約前に必ず確認しておきたいポイントです。
白紙のまま署名・押印しないことが大切です
契約書の空欄が残っている状態や、内容説明が不十分なまま署名・押印するのは避けましょう。
後から内容が補われると、思っていた条件と違う取扱いになるおそれがあります。
3.媒介契約には3つの種類があります
媒介契約には、専任媒介契約、
専属専任媒介契約、
一般媒介契約の3種類があります。
それぞれ、依頼のしかたや業者の義務に違いがあります。
専任媒介契約
1社のみに依頼する契約です。
他の不動産会社に重ねて依頼することはできませんが、
依頼者が自分で見つけた相手と直接契約することはできます。
専属専任媒介契約
1社のみに依頼する点は専任媒介契約と同じですが、
依頼者が自分で見つけた相手と直接契約することはできません。
契約は必ず依頼した不動産会社を通して行います。
一般媒介契約
複数の不動産会社に同時に依頼できる契約です。
自分で見つけた相手と直接契約することも可能です。
一般媒介には、他に依頼している業者名を明らかにする
「明示型」と、明らかにしない「非明示型」があります。
| 契約の種類 | 他社への重ねて依頼 | 自分で相手を見つける | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 専任媒介契約 | できない | できる | 1社に任せて販売活動を集中的に進めやすい契約です。 |
| 専属専任媒介契約 | できない | できない | 最も拘束力が強く、業者側の報告義務もより重くなります。 |
| 一般媒介契約 | できる | できる | 複数社へ依頼できる一方、活動内容は会社ごとに差が出やすくなります。 |
4.専任媒介と専属専任媒介の違い
専任媒介契約と専属専任媒介契約は、いずれも1社のみに依頼する契約ですが、 業者の報告義務やレインズ登録までの期間に違いがあります。
| 項目 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
|---|---|---|
| 有効期間 | 3か月以内 | 3か月以内 |
| 他社への重ねて依頼 | できない | できない |
| 自分で相手を見つける | できる | できない |
| レインズ登録 | 契約締結日の翌日から7日以内 | 契約締結日の翌日から5日以内 |
| 業務報告 | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
専任媒介契約・専属専任媒介契約では、 価格について業者が意見を述べるときには、取引事例などの根拠を示して説明することが求められます。
価格提案を受けたときは、なぜその価格なのかを具体的に確認しましょう。
5.レインズ登録の意味を理解しておきましょう
レインズ(REINS)は、不動産会社同士が物件情報を共有するための 不動産流通標準情報システムです。
専任媒介契約または専属専任媒介契約を結ぶと、
物件情報がレインズに登録され、他の不動産会社もその情報を閲覧できるようになります。
これにより、買主や借主をより広く探しやすくなります。
売主が確認できる仕組みもあります
レインズ登録後は、登録証明書を通じて、
売主が自分の物件の登録状況や取引状況を確認できる仕組みがあります。
不動産会社任せにせず、登録済みかどうかを自分でも確認しておくと安心です。
6.報酬額(仲介手数料)の上限を知っておきましょう
不動産会社へ支払う報酬(仲介手数料)には、
法律に基づく上限があります。
金額は必ずしも自動的に決まるわけではなく、媒介契約の締結時に、
上限の範囲内であらかじめ合意しておくことが大切です。
売買の媒介における原則的な上限は、依頼者の一方ごとに、 次の計算方法によって求めます。
| 取引価格(税抜本体価格) | 報酬の上限(税込) |
|---|---|
| 200万円以下の部分 | 5.5%以内 |
| 200万円を超え400万円以下の部分 | 4.4%以内 |
| 400万円を超える部分 | 3.3%以内 |
簡易計算法(売買価格が400万円を超える場合)
売買価格が400万円を超える場合の仲介手数料は、 「売買価格 × 3.3% + 6.6万円(税込)」以内 と考えると分かりやすくなります。
売買価格が1,000万円(税抜本体価格)の場合、
200万円 × 5.5% + 200万円 × 4.4% + 600万円 × 3.3% = 39万6,000円(税込)以内となります。
「上限額」=必ずその金額という意味ではありません
仲介手数料は法律で上限が決まっているという意味であり、
常に上限額ぴったりでなければならないということではありません。
契約前に、どの金額で合意するのかを必ず確認しましょう。
7.800万円以下の物件には特例があります
売買価格が800万円以下の宅地・建物については、 「低廉な空家等」に関する特例の対象となる場合があります。
この場合、不動産会社は、依頼者の一方から受け取る仲介手数料について、 原則の上限を超えて受領できることがありますが、 その上限は33万円(税込)以内です。
この特例を適用する場合も、 媒介契約の締結時にあらかじめ説明を受け、金額について合意しておくことが大切です。
「後から請求された」ということがないよう、書面で確認しましょう。
8.代理契約では報酬の考え方が異なります
売買・交換の代理の場合、 報酬の上限は、媒介の場合の上限額の2倍以内です。
ただし、相手方からも報酬を受け取る場合には、 双方から受け取る報酬の合計がその範囲内に収まる必要があります。
代理は媒介より権限が大きい契約です
業者がどの範囲まで代理権を持つのか、勝手に条件変更ができないか、 どのような場合に費用や報酬が発生するのかを、 契約前に特に丁寧に確認しておきましょう。
9.賃貸借の媒介・代理を依頼するとき
賃貸借の仲介手数料については、 原則として貸主・借主の双方から受け取る金額の合計が 家賃1か月分(税込)以内となります。
居住用建物では、承諾の有無によって 貸主・借主それぞれから受け取れる上限の考え方が変わるため、 事前の説明をよく確認することが大切です。
長期間使用されていない戸建の空き家や分譲マンションの空き室などでは、 貸主側の仲介手数料に特例が適用される場合があります。
どの特例を使うのか、いくらになるのかは、 契約前に必ず書面で説明を受けましょう。
10.火災保険の案内を受けるときも内容を確認しましょう
不動産取引では、引渡しや入居にあわせて
火災保険の案内を受けることがあります。
その際は、勧められるままに決めるのではなく、
補償内容や保険料、建物条件との関係を理解したうえで検討することが大切です。
火災保険という名称ですが、実際には火災だけでなく、
風災・雪災・水濡れ・破損など、契約内容によって幅広いリスクに備えることができます。
一方で、地震・噴火・津波による損害は、一般的な火災保険だけでは補償対象外となることがあるため、
必要に応じて地震保険もあわせて検討することが重要です。
① 補償内容は建物の立地や住まい方に合っているか確認する
河川に近い場所や低地では水災補償の必要性を確認し、
逆に立地条件によっては補償内容を見直せる場合もあります。
物件の所在地や周辺環境、ハザードマップの状況なども踏まえて考えることが大切です。
② 建物だけでなく家財補償の有無も確認する
火災保険は「建物」と「家財」を分けて契約する場合があります。
建物だけを対象にした契約では、家具・家電・衣類などの家財が補償されないこともあるため、
ご家族の暮らし方に合った補償範囲を確認しておきましょう。
③ 建物構造によって保険料に差が出る場合があります
建物の構造や仕様によって、火災保険料が異なることがあります。
たとえば、省令準耐火構造に対応した住宅では、
一般的な木造住宅に比べて保険料面で有利になる場合があります。
建物性能と保険の関係も、事前に確認しておくと安心です。
④ 保険料だけでなく免責金額や特約も確認する
毎年または一括で支払う保険料だけで比較するのではなく、
自己負担額(免責金額)、補償限度額、特約の内容、事故時の対応方法なども確認しましょう。
必要なときにきちんと役立つ内容かどうかを見ることが大切です。
火災保険は、不動産会社や保険代理店から紹介を受けることがありますが、 必ずしも一つの提案だけで決める必要はありません。
補償内容、保険期間、地震保険の有無、家財補償の範囲などを確認し、 ご自身が納得できる内容を選びましょう。
契約時は「よく分からないまま加入しない」ことが大切です
火災保険は、引渡し時期が近づくと慌ただしく決まりやすい項目です。
だからこそ、補償内容や保険料の理由を確認し、
分からない点はそのままにせず事前に説明を受けておきましょう。
11.依頼前に確認したいポイント
専任・専属専任・一般のどれが自分の希望に合うかを確認しましょう。
契約期間はどうなっているか、更新の方法はどうなるかを見ておきましょう。
専任・専属専任の場合は、いつまでに登録するのか、登録証明書を交付してもらえるかを確認しましょう。
活動報告をどのくらいの頻度で受けられるのか、文書・メールなど方法も確認しておくと安心です。
上限額だけでなく、実際にいくらで合意するのか、いつ支払うのかを明確にしておきましょう。
通常条項以外に特約がある場合は、依頼者に不利な内容になっていないかを確認しましょう。
売買や賃貸に付随して保険の案内を受ける場合は、補償内容、保険料、加入時期、紹介先の立場なども確認しておきましょう。
依頼内容を理解しておくことが、安心した不動産取引につながります
不動産会社に媒介や代理を依頼するときは、
契約の種類、レインズ登録、報告義務、仲介手数料の上限、関連する火災保険の内容などを理解しておくことが大切です。
その場の説明だけで進めず、必ず書面を確認し、
納得できない点は契約前に質問して解消しましょう。
「何を、どこまで、いくらで依頼するのか」を明確にしておくことが、
安心して取引を進めるための基本です。
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